収納スッキリの家

収納率は12%以上というけれど、そのリアルは

収納を語るうえでよく「収納率」っていう言葉が出てきますが、聞いたことはあるでしょうか。
なんでもその率が低ければ良くなくて、高ければ満足度が上がるそうです。

何となく想像できるかもしれませんが、単純に平面上で、延べ床面積(1,2階を合わせたトータル面積)に対する収納とされる部分の床面積の割合です。

よく一戸建て住宅では10%とも12とも15%とも言われ、マンションでは8%以上とか言われています。

収納率が12%を超えると満足度は横ばいに

収納率と満足度との関係はどうでしょうか。
5%よりは8%、8%よりは10%というように12%までは収納率が上がるにつれ、満足度も上昇します。
しかし12%を超えるとその関係はなくなり、横ばいになります。
つまり12%が最高で15%やそれ以上に収納が増えても、満足度は変わらないということです。

12%とはどれぐらいの量なのでしょうか。

延べ床面積が120㎡の家で考えてみましょう。
15畳程度のLDKに6畳の和室、0.75坪の平均的な浴室を含む水回りがあり、2階は8畳の主寝室とクローゼット、6畳の子ども室が2部屋あるような広さの家です。
収納率が12%ということは14~15㎡です。
いわゆるプラン集に掲載されている120㎡の家の収納面積は11㎡程度(収納率9%)ですが、かなり収納に面積を割いている印象です。
その内容は玄関収納、ホール収納、リビング収納、パントリー、和室の押し入れ、2階の主寝室には2畳のウォークインクローゼット、子ども部屋それぞれにも壁面収納がついています。

これに2畳の納戸を加えて、やっと14~15㎡、つまり収納率12%になります。

収納物の多さ、つまり物持ち度合いはそれぞれですが、家の規模とのバランスで考えると十分であり、反対にこれ以上増やすと収納以外のリビングや主寝室等の実際使う居室の面積がせせこましくなるでしょう。

12%でも家の規模とのバランスではかなり多めであり、それを超えてくると、肝心の居室の広さが狭くなり、満足度はそれほど上がらないのは予想できます。

見つけ面積という概念もある

収納率はあくまでも平面的な面積での話です。
同じ面積でも奥行きの寸法によっては、その幅、つまり立体的に見た「見つけ面積」は変わります。
想像できるように、収納量は立体的に見た見つけ面積に左右され、むしろこちらの方が重要です。

面積や収納の量が単純に確保されていても不満は不満

収納は量が多ければそれでいいのでしょうか。
それは少し違います。
例えば奥行きが90cmや1mもある、いわゆる押し入れがたくさんあれば、量としては確保できるでしょう。
しかしそのような奥行きの収納は布団以外では、反対に使いにくいです。
家の中であふれかえり、収納に困るものは布団ばかりではありません。
衣類や扇風機やストーブなどの季節用品、その他小物類であり、それらはむしろ奥行きが浅い方がしまいやすいですよね。
少なくとも奥行きが90~100cmもある収納では、奥にしまったものが手前にあるもののために取り出しにくいです。

収納はただ単にしまいこむだけでなく、それがわかりやすく、しかも取り出しやすいことも重要です。

また使う場所に収納がないと住みにくいです。
和室で布団を敷いて寝るスタイルなのに、すぐ近くに布団収納がないと運ぶのも大変ですね。

もっと言えば下着類なんかもどこに置くのがいいかも考えていたほうがいいと思います。

収納は量だけでなく、奥行きやその収納場所も重要になりますので、どこで何をどう使うのかイメージして決めたいものです。

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