家づくり後悔記

重すぎる後悔話ですみません「住宅ローン破綻」の話

住宅ローン破綻・・・なんてつらい響きでしょうか。

かなり大きな決断をして、楽しいことも苦労もありながら、やっと手に入れたわが家を手放すことにもなります。
最初からわが家を手放すことを前提に家を建てる人なんていません。

建てる時は、まさか自分が(自分にかぎって)家を手放すことになるとは、夢にも思わないのではないでしょうか。

住宅ローンが返せずに、やっと手に入れた家を手放す・・・まさに断腸の思い、想像を絶する無念さでしょう。

わが家を売り払って、住宅ローンの残り残債)が完全になくなれば、まだ救われますが、中にはそれだけでは返しきれないケースも多々あります。

むしろ、よほど人気がある地域でしかも条件がいい物件でないかぎり、ほとんどの場合は家を売り払っても、まだ借金が残る・・という事態になります。

未払いの住宅ローン残高>売ることで得られた額・・・つまり住宅ローン残高以下の金額でしか、わが家が売れなかったわけです。

そうなれば大変です。借金を返済しながら、新居の家賃を払うことになります。
もともとは住宅ローンが払えないから、このような事態になったのに、このダブルの出費は大変厳しいです。・・・まさに二重苦です。

住宅ローン破綻になる原因、パターンを考えてみましょう。

住宅ローンが支払えなくなり、何もしなければ・・・け・い・ば・い

住宅ローンの返済は毎月毎月、支払うことになります。
何らかの理由で支払えなくなると督促状が送られてきます。
一般的に延滞が3~6カ月続く(借りている銀行にもよります)と銀行から一括返済か売却をするように促されます。

そこでなにもしなければ、「競売」へとなってきます。

「きょうばい」もしくは「けいばい」という言葉をきいたことがありますでしょうか。

ざっくりいえば、「借金(住宅ローン)が返せないのであれば、強制的に家を売ってもらってでも、返してもらう」ということです。

本人の意志に関係なく、強制的に事が進みますので、本人は何もすることがありません・・というより何もできません。

期限が来れば、強制的に立ち退きになり、出ていかないと不法侵入者扱いになりますし、氏名も公表されるので、ご自身の社会的信用度にも影響します。

また家も競売の場合は、相場の7~8割程度の金額でしか売れませんので、借金返済額に及ばず、その結果かなりの借金が残ることも珍しくありません。
当然ながら、その借金は何としてでも返さなくてはなりません。

家が無くなるだけでなく、住む場所も、社会的信用もなくなった上に、多額の借金までも残ってしまうことになります。

住宅ローンが払えなくなったら、競売にかけられるしかなくなるのでしょうか。

「払わずに、何もしなければ」強制的に競売にかけられますが、「何かをすれば」他にも方法があります。

任意売却ってきいたことがありますか?

競売は裁判所を通じて、強制的に進められますが、任意売却は住宅ローンの借り入れをした銀行等(債権者)の同意を得て、任意でマイホームを売却して残債を支払います。

住宅ローンが支払えないのなら、マイホームを売ってでも返してもらいます、ということには変わりませんが、強制的に売却するのではなく、名前も公表されず、一般的な売却と見た目は変わりませんので、世間体は保ちやすいです。

競売と違い、相場に近い金額で売れることもあり、残債を少しでも少なくすることにも効果があります。
また債権者と協議の上、今後の生活が破綻しない範囲で残債を分割で支払うことも可能な場合もあります。

「マイホームを売り払っても、まだローンって払いきれないものなのですか」 という声があがることがあります。

これはケースバイケースです。幸いにして、ローンの残りの金額(残債額)よりもマイホームが高く売れたら、支払った後もおつりがくるくらいなので、問題はありません。(マイホームを手放すわけですから、もちろん悲しいですが)

住宅ローンを払えなくなるほとんどのケースが、まだたっぷりと残り(残債)があります。もう少しで払い終わりそうな場合は、マイホームを売却までしなくても、何とかなることが多いです。

問題は、たっぷりとまだ残り(残債)があるにもかかわらず、一度住んだ家は思ったよりも、高くは売れないことです。

詳しくは改めて書きますが、家の建物部分は一旦住んでしまうと、かなり急に価格が下がります。そうなれば土地の価格だのみになりますが、特に人気のエリアならまだしも、そうでもない場合はなかなか思うような金額では売れなかったりします。
そうなれば、マイホームを売っても住宅ローンの残債が残ってしまうのです。

住宅ローン破綻は避けたい・・・いったいどうすればいいか

個人的には「こだわり」や夢がいっぱい詰まった家を手に入れてほしいと応援しています。(家づくりを設計プロデュースしているから当然ですよね。)

「家を建てる、買う」と決めたときに「固定資産税等の税金と住宅ローンだけはぜーったいに滞納しない!」と肝に銘じてください。
間違えても「無理なローンでもなんとかなるだろう」「数カ月ぐらい待ってくれるだろう」「あの優しい笑顔の銀行の担当者がそこまでしないだろう」とは決して思わないでください。

肝に銘じたら、あくまでも借りれる金額ではなく、余裕をもって「返せる金額」でローンを組んでください。

返せないかもと思うのであれば、大きく方向性を変えるか、もう少し遅らせてでも頭金を貯めるか、建築費を下げる工夫をするか・・・等々取り組んでみてください。

「建築費って下げるのは大変」と思うかもしれませんが、品質を落とさずにコストダウンってできるものです。
家を建てる総額について大きくは、土地購入の金額、建築の金額、諸経費に分けられます。
土地は余程の欠陥がかくされていないかぎり、大きく相場から減額されることはありません。諸経費もコストダウンできたとしても少額でしょう。
実は建築費については、知恵をしぼり、工夫次第で(品質を落とさずに)かなりのコストを削減できます。(実際、私も数百万レベルのコストダウンができたことが多々あります。)

建築費を高いと思ったならば、あきらめることなく、工夫をしていくことが重要です。

今回はこれから家を建てようとしている気持に、冷や水をかけるような話でしたが、無理をしない資金計画と建築費を見直してみることの大切さをお話ししました。

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