ある偉大すぎる巨匠建築家の終の棲家
「ル・コルビュジェ」という建築家の名前を聞いたことがありますでしょうか。
建築の特に設計をする人間にとっては、あこがれを超えて、エジソンやモーツァルトのような偉人の本にでも出てきそうな、遠い存在にさえ思えてしまうぐらいの偉大な建築家です。(私がそう思っているだけかもしれませんが)
よくアメリカの巨匠「フランクロイド・ライト」や「ミース・ファンデルローエ」と並んで、20世紀の巨匠といわれ、とてつもなく有名です。
野球界では沢村栄治、ベーブルース、剣術界では宮本武蔵、音楽界のモーツアルト、ベートーベン・・・そんな偉人と肩を並べる、まさに建築界の偉人、巨人・・・と私は思っています。
その功績は私が語りつくすこともできないし、すでにたくさんの研究者が資料や書籍をまとめておりますので、詳しくは割愛しますが、画期的な建築理論をあみだし、世界に発信するだけでなく、大小さまざまなすばらしい建築を世に送り出しました。
(たくさんの書籍が出ておりますので、興味があれば読んでみてください。)
自分の母親のために建てた家は湖畔にたたずむ小住宅でした。
「ル・コルビュジェ」は最愛の母親のために、家を建てています。
その家は「小さな家」という名前で有名でもあります。
レマン湖という湖畔に面して、まるでその湖の景色を家の中に取り入れるかのように建っています。
レマン湖はスイスとフランスにまたがる、かなり大きい湖(中央ヨーロッパでは2番目)で、湖らしい湖といいましょうか、とにかくその「小さな家」の窓からは湖の水平線の先にアルプスの山々がうっすらと見えます。
おだやかな老後がおくれそうな、まさにうってつけの景観です。
その家が意外なほどに小さいのです。
湖畔に面して細長くつくられたその外形は、短辺は3.6m程度とかなりコンパクトです。
3.6mといえば、8畳の一辺や6畳の間の長辺といえば、わかりやすいです。
世界の中では比較的面積が狭い日本の家と変わらない、むしろその中でも小規模なぐらいの家です。
驚くことに、大規模な建築や大邸宅をたくさん手掛けてきた建築家が設計しているのです。
終の棲家は小屋だった。
「ル・コルビュジェ」自身の終の棲家はどんなものだったのでしょうか。
大邸宅もたくさん手掛けてきていますし、富も名声も十分すぎるくらいありました。
そんな建築界の巨人の終の棲家です。
言いかえれば偉大な建築家として芸術家として(画家でもある)生きた証、集大成になるべき家となります。
どんな豪邸なのだろうか、どれほど奇抜な家なのだろうか、建築思想が随所に盛り込まれているのでは・・・と想像してしまいますが・・・
小さな小屋だったのです。
繰り返しますが、20世紀の巨匠といわれた、偉大な建築家の終の棲家は小さな家ならず、「小さな小屋」だったのです。