食を愉しむ空間の中心はキッチンばかりではない
食を愉しむ(楽しむ)空間をつくるとなれば、まず最初にキッチンをどうするか考えてしまいます。
キッチンメーカーのショールームに出向き、きれいで洗練されたシステムキッチンに心躍らせ、また見積もり金額に一喜一憂することも多々あるでしょう。(最近は新型コロナウィルスの影響で、入場制限がありますが)
システムキッチンに憧れる人は多いし、それを選ぶことも楽しいことです。
しかしキッチンだけが充実しても、食を愉しめる空間や家になるでしょうか。
食はつくるだけでなく食べることでも楽しめる
キッチンはつくる場所です。
料理に凝る人にとっては工房のようなとらえ方をします。
凝った料理を時間をかけてつくるのか、効率よく無駄なくつくりたいのかなどによって、キッチンのあり方も変わってきます。
料理をつくる楽しみがありますが、それを配膳して食べる楽しみもあります。
そこで重要になるのは、食べる場所であるダイニングとキッチンとの関係です。
片付けることもお忘れなく
料理が大好きで、よく凝った料理をつくるご主人の話です。
奥様はとても喜んでおられるのではと話をしていましたが・・・少し浮かない顔をされています。
「うちは何もしてくれないよ。そんな贅沢な!」という他の奥様の声もあがりそうです。
その奥様は聞いてよ!という風に、明るくあっけらかんと言いました。
「料理はおいしいし、うれしいんだけど、片付けをしないのよ」
聞けば、かなり凝った料理をつくり、家族みんなにふるまうまではいいのだけれど、お酒を飲んであとは片付けずに寝てしまうとか。そしてその後は奥様がせっせと片付けているらしいです。
「それも1回しか使えないような珍しいスパイスも買ってくるのはいいのだけれど、封も開けたままよ。」
奥様が少し浮かない、複雑な表情をされた理由が少しわかったように思えました。
家で食を愉しむということは、つくって食べるだけでなく、片付けるということもセットです。
片付けないと汚れて不快なだけでなく、次の料理の時に場所がわからなかったり、スパイスも風味が落ちていたり、いろいろと不具合が起こります。
つくりやすさ、雰囲気の良いダイニングだけでなく、片付けやすい動線や収納も重要です。